SHURO | シュロ

SHURO_007

高 妍

SHURO_007

マンガ家・ミュージシャン・詩人…など様々な分野で活躍するアーティストが
「SHURO」という言葉からイメージして創作するシリーズ。

こちらはイラストレーター・漫画家として活動する台湾人・高妍( Gao Yan / ガオ・イェン)によるアートワーク。
台湾に棕櫚(シュロ)が自生しているのか知らず、日本における棕櫚という植物について説明しつつ依頼。すると話は棕櫚を軸に日本統治時代の台湾の話へと展開していって「高一生」という人物を教えてもらい、結果的に互いの国と歴史への理解を深める機会となりました。
まるでレコード・ジャケットのようなデザインも全てGaoさんによるものです。

<作者の言葉>
台湾の街には、「ダイオウヤシ(大王椰子)」というヤシの木が、珍しいと思わないくらい数多く生えています。
私たち台湾人が毎日見るごく普通な風景は、外国人の目には特別に映っているでしょう。
それは台湾人の私が東京に引っ越ししてきて、1年経ってから感じたことです。
後で知ったのですが、「ダイオウヤシ」は日本統治時代(1898年頃から)たくさん輸入され、植えられたという。
文化も、言語も、ヤシの木やシュロも、だんだんごく普通の風景に融合してきましたが、 よく考えてみれば、全て歴史の跡が感じられるとは⋯素晴らしいのではないかと思っています。
このイラストは、文化、歴史、ヤシとシュロ、そして白色テロの犠牲となった高一生(Uyongʉ’e Yatauyungana)さんへのオマージュです。

「水田賣らない様に」。

漫画家・イラストレーター

高 妍

がお・いぇん

1996年、台湾・台北生まれ。
台湾芸術大学視覚伝達デザイン学系卒業後、沖縄県立芸術大学絵画専攻に短期留学。
イラストレーター・漫画家として台湾と日本で活動。
自身初の漫画『緑の歌 – 収集群風 -』が「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)にて連載し、2022年5月に単行本化。
現在は「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)にて『隙間』を連載中。
その他の作品に、著/村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』(文藝春秋)の装・挿画などがある。

高 妍

Gaoさんがコミックビームで連載中の作品『隙間』の第4話は、後の「白色テロ」にもつながる「二二八事件」に触れる予定なんだとか。その4話目のサブタイトルが『長春花/フロックスの花』。高一生さんが書いた曲がまとめられた『鄒之春神』というアルバムの3曲目に収録されています。
Gaoさんから聞きましたが、『長春花/フロックスの花』は毎年の「二二八和平記念日」のデモ運動で歌い継がれているようです。

そして…このアルバムジャケットに使用されている写真の背景に写っている植物は、もしかして棕櫚?

映画監督・酒井充子さんによる記事「父からの手紙―白色テロを生きた家族」(公益財団法人ニッポンドットコムが運営するnippon.com掲載)で、高一生さんについてと当時の社会背景を知ることができます。